「 トヨは人生で今が一番楽しいです。トヨは皆さんのことが大好きです」
　デイサービスに通う93才の女性が手芸の先生に宛てたお手紙は、きれいな包装紙の裏に書かれていました。
　友と一緒に、ひと針ひと針進めるゆったりした時間、色とりどりの布に囲まれる華やかな時間、教え、教えられ、微笑みあう時間…今を満たすそんな時間。
　母が浴衣を縫ってくれるのを傍らで見守っていたぬくもり、女学校でともに学んだ運針、自分の赤ちゃんのために編んだケープ…心に浮かぶ幸せな記憶。
　手芸は人生を彩る小さなきらめきを与えてくれます。
　高齢だから、病気だから、障害があるから…だから、人生が寂しいものであっていいはずがありません。
　介護職やボランティアなど福祉の現場で活躍される方々が、手芸療法を身に着けられ、たくさんの笑顔を増やしてくださることを願っています。

一般社団法人日本手芸療法士協会　理事一同